地下足袋山中考 NO6
<スパイク靴禁止します ストックの先にキャップ付け強制・・?>

 森吉山のゴンドラ運行が61日に始まってから、信じがたいメールと電話をもらった。ゴンドラ駅舎の玄関口で女性職員が履物とストックの検査をしているというのだ。その職員は、乗り場口に掲げた看板を指差し、今度からこうなりましたので、スパイク靴の方はトレッキングシューズにしてください。ストックの先にはキャップを付けてください。無ければ一個600円で販売しているので買い求めてほしいというのだ突然言われ面食らった利用者は、あまり意味もわからず高額のキャップを購入したり、靴を履き替えたそうだが、後でゆっくり考えてみるとリフト代1800円(協力金200円含む)をはらった他に、登山道の保護の為だと1200円のキャップまで買わされ、履物規制まである山は今まで経験がないということだった。その規制看板の内容は次のとおりである。 

<御協力のお願い>

登山道などの保護のためストックや靴をご確認ください

・一般登山道ではスパイクの付いている靴はご遠慮ください

・ストックの先にはゴムキャップ等を付けてご利用ください

※当施設の売店でもストックキャップを販売しております

阿仁スキー場では登山道や高山植物を保護する事を心がけ、ご利用いただいている

お客様の皆様にも特にグリーンシーズンにはご協力をお願いしております

北秋田市・阿仁スキー場

 ▲その女性職員は、ゴンドラ運営主体のNPO法人「冒険の鍵クーン」代表の村田キミ氏であった。旅行会社のガイドを受けた当協会所属の案内人も玄関口ですっかり履物とストックの注意を受けてキャップ購入してしまったという▲お客様の反応は怖い。職員が乗り場で言うべきは、「おはようございます。本日はご利用いただきまして誠にありがとうございます。今日の山頂付近は快適で初夏の花が見ごろになっております。どうぞお気を付けてお楽しみください、くらいのもてなしを言ってほしいものだ。こんな面倒くさい山にはもう来たくない」という会話が昼食時に飛び交ってしまった▲早々、市観光振興班には苦情が発生していること。規制内容が法的根拠のない趣味的な文面であったため、即刻口頭で撤去を申し入れた▲その看板内容は規制指導に権限を持たない村田キミ氏から提案され、文面をチェックしたが問題ないと判断した北秋田市商工観光課が製作して与え、連名で掲示したというから呆れてものが言えない。担当の柴田課長も申入れに納得し、村田代表を呼んで対応するとのことだった▲県立自然公園条例では、公園管理者(県)は自然公園に生息、生育する動植物の保護、生態系の多様性の保持を旨として、景観の保護に関する施策を講ずることを義務付けられ、種々の案内、誘導、規制標識等を設置している▲県条例第21条が特別地域又は集団施設地域内において利用者に課している規制は、何人も@他の利用者に著しく不快の念を起させること。Aゴミその他の汚物、廃物を捨て又は放置すること。B著しい悪臭や騒音の発生。C展望所、休憩所等の占拠。D悪の情を催させる客引き等の行為。Eその他公園利用者に著しい迷惑をかけてはならない。又このような行為に対してやめるよう指示、指導できるのは当該職員や公園管理人等であり、その職員等は身分を示す証明書を携帯し関係者の請求があるときは、これを掲示しなければならないとある▲登山道等は幅1〜2メートルで営林局から借受け、県と市が維持管理を負い、踏込み・雨裂・崩壊に対しては、ローピング・木道・階段工・石畳で保護保全策を施している。スパイク靴やストックで自然破壊(地形の形状変更)が起きるとすればゴンドラ運行によるマス観光そのものが問われることになる▲森林管理署職員の履物はスパイク付の長靴と地下足袋である。履物やストックの形状規制などあるはずもない。一個人の趣味的な自然保護論を持出し、利用者の履物や所持品の検査を行い、ストックのキャップ販売まで求めた唐突な行為こそ県条例に抵触すると言わざるをえない。こんなオタク行為を許可した指導的立場にある市観光振興班には猛省を促すことで、不愉快な思いをされた登山者にはご容赦を願いたい。(2010.6.25